JILA × AI リーガルテック協会 共同トークイベント開催報告

AIリーガルテック協会(AILTA)は、2025年12月8日(月)に日本組織内弁護士協会(JILA) と共同で、トークイベント「AI時代の法務キャリアとガバナンス 変化をチャンスに変える視点」を開催しました。
本イベントは、JILA副理事長の新熊 聡氏、AILTA事務局長の春日舞、モデレーターにYKK AP株式会社 専門役員 リーガルカウンセル 法務・知的財産部コンプライアンス推進室長・弁護士の石井 隼平氏を迎え、AIの進化によって企業法務を取り巻く環境が大きく変化する中で、法務パーソンのキャリアや役割、そしてAIガバナンスの在り方について様々な視点から議論しました。
AILTA事務局長 春日より、「AIは法務業務を代替する存在ではなく、品質とスピードを高めるための優秀なアシスト」であると説明しました。AIによって定型業務が効率化されることで、法務はより戦略的な提案や経営との対話に時間を使えるようになり、人間にしかできない判断や責任が一層重要になると述べました。JILA副理事長でガバナンス実務の第一線に立つ新熊氏は、「使い手」の視点から、AI活用への期待と同時に、ハルシネーションや情報セキュリティ、最終責任の所在といった現場の懸念を率直に共有しました。その上で、AI時代の法務には、AIの出力をそのまま受け取るのではなく、一度咀嚼し、自分の言葉で説明し、経営を説得する力が不可欠であり、高い倫理観こそが法務パーソンの中核的価値になると強調しました。
キャリア論の議論では、新熊氏は「AIの普及によって若手法務の育成の在り方も変わる」と指摘しました。従来のOJT中心の育成だけではなく、AIガバナンスや戦略的意思決定に早期から関与することが、若手にとって大きな成長機会になると述べ、AIネイティブ世代が新たな強みを発揮できる時代になるとの見解を示しました。
これから求められる法務人材像として、春日氏は「AIを使いこなした上で、WhyやHowを考え抜き、事業や経営にとって意味のある提案ができる人材」を挙げました。AIはWhatを示すことは得意だが、最終的に信頼関係を築き、意思決定を支えるのは人であり、その役割は今後さらに重要になると述べました。
モデレーターを務めた石井氏は、会場の参加者にも積極的に問いかけながら議論を進行し、参加者から多様なコメントを引き出しました。一方通行の講演にとどまらず、登壇者と参加者が意見を交わし合う双方向の対話が自然に生まれ、終始温かい雰囲気に包まれたイベントとなりました。
イベントの締めくくりには、技術が進化するからこそ、法的思考という原理原則を羅針盤として持ち続ける重要性が共有され、AI時代における法務の進化に向けた一歩となる場となりました。
また、トークイベント終了後には登壇者と参加者との懇親会を開催しました。
AIリーガルテック協会では、今後もAIリーガルテックの発展に向け、様々な取り組みを行ってまいります。

