第14回 中国個人情報保護法のSCC対応

中国個人情報法については、共編著した『中国デジタル戦略と法』の中でも詳述したところであるが、同法の対応は日本企業にとっても大変重要な課題となっている。例えば、中国個人情報保護法に基づき中国子会社の情報を日本に移転するという場合、SCC(標準契約)を締結する方法が考えられる。ここで、2023年2月22日にSCCが正式に確定した。そこで、本来は同年11月末までに本人同意取得、PIA(影響評価)、SCC締結、そして届出をしなければならない。そこで、多くの日 本企業がこれらの手続きに向けて努力をしていたところである。
ところが、2023年9月28日にデータ越境流通の規範化及び促進に関する規定(意見募集稿)(以下「規範化規定」という)が公表された。その中では、例えば1万人未満の個人情報しか移転しない場合、同意とPIAは必要だが、SCC届出は不要といった内容が記載されている。そこで、これはSCC対応を進めてよいものか、と言った点が実務上問題とされている。
当職は2023年10月31日に「SCC締結期限直前 中国個人情報保護法の具体的な対応実務」というセミナーに登壇したが、基本的には日系企業の対応としては大きく3類型が存在すると理解している。類型1はPIAすらやらないものであり、これは違法である。類型2はPIAはやるが契約締結まではしないというものである。類型3はPIAも契約締結も進めるというものである。
類型1は違法であることから類型2と類型3があるところ、当職の理解では類型2の企業が多い。但し、規範化規定に基づく場合でもなおSCC締結・届出が必要な一部の企業等は類型3を選択している。
規範化規定が今後どのように正式化されるかについて不確実性もありますし、タイミングの問題もある。そこで、このような最新状況を適時に入手できるよう、個人情報に詳しい専門家と随時コミュニケーションを取ることができる体制を確立することが重要だと考える。
 

 
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