第17回 法情報流通のあり方
現時点では、例えば裁判例がオープンデータ化していない(裁判所HPにはごく一部がアップロードされるだけ)、法令の解釈の重要資料たる内閣法制局審査資料は情報公開請求をしないと取り寄せられない等、重要な法情報のアクセスに障壁がある。
この点は、例えば法令APIの導入により、法令データを利用したプロダクトの可能性等が広かっている。例えば「過去の各時点で適用される法令が何か」を、例えば日時を指定すれば、自動的に示されるようなものは、現時点では少なくとも政府として提供しておらず、一部のリサーチ系企業は提供しているが、それが一部の法令にとどまるという状況である。今後はこのような状況が改善することを期待したい。
もっとも、その意味は、リサーチ系プロダクトについて「レッドオーシャン化」する可能性があるということもいえる。例えば裁判所HPにすべての裁判例が掲載される状況が来れば、「なぜこの判例データベースプロダクトを有料で購入するべきか」の説明が必要となる。
この点は、判例と法令は著作権上の障壁が基本的にないものの、書籍、論文等はあるので、そのようなデータを提供することに価値があるとか、そのようなデータとリンクを貼っているところに価値があるとか、そのようなデータを含め、一元的に検索して「欲しい『答え』が出てくる」ことに価値がある等各社が各様に対応を考えていくことであろう。
いずれにせよ、今後法情報の流通がますます促進され、弁護士や企業の法務部門(インハウスを含む)の業務が便利になることを期待したい。
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