第5回 ChatGPTの利用の広がりとリーガルテックの将来に向けた発展
ChatGPTについて第1回で簡単に触れたが、現時点でもいまだにChatGPTがニュースやSNSを賑わしている。
リーガルテック各社もLegalOnTech、GVATech及びMNTSQ等、当協会加盟企業を含む複数社がChatGPTについてリリースを出したりメディアで取り上げられている。
筆者は、2023年3月23日にLegalOnTech社主催の「最新AI技術と法務実務への影響~弁護士と企業法務がChatGPTを考える~」で登壇したことをきっかけに、ChatGPTに関する約20件以上のセミナー、研修、勉強会等に登壇させて頂いているところ、その過程で検討した内容を踏まえ、2023年6月に中央経済社から『ChatGPTの法律』を共著で出版し、同年お盆前には弘文堂から『ChatGPTの法律実務』を単著として出版する予定である。その中で筆者が最も言いたいことは「将来的に法律実務は大きな変貌を遂げるものの、弁護士や法務担当者の役割は残る」ということである。将来に向け、ChatGPT等のAIやリーガルテックは大きく発展するだろう。そして、筆者は、協会代表理事であることから、多くのリーガルテック企業の発展の方向性等について教えて頂き、比較的将来予測をしやすい立場にある。もちろん、100年後を予想する等は到底不可能であるし、弁護士や法務担当者(インハウスを含む)を多く含む読者の皆様としても、100年後よりも、ご自身がまだ仕事を続けている時期にどのように自分の業務が変わるのかが知りたいだろう。そこで、約20年後の2040年を想定して予想したい。
そして、ChatGPTを含むリーガルテックには技術的制約があることから、いくら技術が発展を遂げても、決して「それさえあれば人間の弁護士や法務担当者が不要になる」ような意味における、「人間の仕事を奪う」プロダクトにはならない。もちろん、個別具体的なタスクということで言えば、その遂行方法はリーガルテックの支援を受けたものへと大きく変貌すると予想する。現在におけるパソコンと同様に、リーガルテックを利用して業務を遂行することが当たり前になるだろう。その結果として、例えば、これまでの図書館で足を棒にして本や雑誌を運んできて1枚1枚めくってコピーする等の具体的なタスクの一部が不要になる可能性はある。しかし、それはむしろ、人間を楽にする方向のものであって歓迎すべきである。そこで、依然として、多くの業務は人間の手に残り、引き続き人間の弁護士や法務担当者がリーガルテックの支援を受けながら、より重要な業務に注力できるようになると予想する。
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